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腫瘍マーカーでは早期癌は見つかりません!!

【腫瘍マーカーが上昇する前に癌を見つけないと根治は難しい事が多い】

こんにちは。院長の舟木です。今回は人間ドックなどでよく測定されている腫瘍マーカーについて書いてみようと思います。

目次

腫瘍マーカーの測定に意味があるのは限られたケースのみ!!

腫瘍マーカー、つまり採血だけでがんを発見できれば、それは素晴らしいことです。皆さんの大嫌いな胃カメラや大腸カメラなどは必要ありませんし、CTで被曝する必要もありません。しかし残念ながら、現時点では腫瘍マーカーで早期がんはほとんど見つかりません。ただし例外がありまして、前立腺がんは腫瘍マーカーで早期に発見することが出来ます。よって、京都市の前立腺がん健診は血液検査でPSAというマーカーを測定するのです。

京都市の胃がん健診は胃カメラ、大腸がん健診は便潜血検査を行います。決してCEAやCA19-9といった腫瘍マーカーを測定しないのです。なぜでしょうか?胃がんや大腸がんで腫瘍マーカーが上昇しているということは、転移してしまっているのです!!!

がんを根治するには、早期に見つける必要がある!!

最近は抗がん剤も次々に素晴らしい新薬が登場してきていますが、残念ながら抗がん剤だけでがんが根治できるケースは限られています。特に私が専門の消化器がん(食道がん、胃がん、大腸がん、肝臓がん、膵臓がんetc.)は早期に発見して血管の中やリンパ節に癌細胞が侵入する前に切り取ってしまうことが唯一の根治方法となります。

よって早期にがんを見つけなければ治らない事が多いのです。よって、腫瘍マーカーで癌を見つけても早期ではないため根治が難しいのです。よって、別の何らかの方法でがんを見つける必要がありますが、医療の進歩により、胃カメラ、大腸カメラ、CT、MRI、エコーなど多数の診断機器が世の中にでているのです。こういった高度な医療機器に頼らずとも、大腸がんに関しましては便潜血検査(便に微量の血液が混じっていないかを調べる検査)で大腸がんやポリープの存在をうかがい知ることが出来ます。

では何のために腫瘍マーカーが存在しているの?

早期がん、つまり根治できるがんの発見に役立たない腫瘍マーカーがなぜ保険適応になって存在しているのでしょうか?

それは、腫瘍マーカーの上がっている進行がんの治療において、治療の効果を数字で測定できるためです。腫瘍マーカーというのは、身体にある癌細胞の量に比例して上昇、低下する傾向があります。例えば、膵臓がんで抗癌剤治療をしている場合、治療の効果判定はCTなどの画像検査を行いますが、微妙に腫瘍が大きくなっている場合、判断に迷うことがあります。そういった場合に補助的に腫瘍マーカーを測定すれば、数値で出てくるので、判断の助けになるのです。よって、抗がん剤治療をされている患者さんは定期的に腫瘍マーカーを測定している人が多いでしょう。

逆の言い方をしますと、上記以外に腫瘍マーカーを測定することに意味がある状況というのはほとんど無いのです。

とは言っても、人間ドックで測定して上昇していたらどうする?

人間ドックのオプションで腫瘍マーカーを測定するという行為は実際によく行われておりますし、結構人気があり希望される方も多いようです。採血するだけなので、自費にはなりますが、とりあえず測っておいて安心したいという被験者の心理をくすぐるものであるからです。また、たまたま測定して上昇していた事が精密検査を受けるきっかけとなり、結果癌が見つかるといったケースもあります。

ただし、例えばCA19-9は癌が無くても基準値を少しはみ出るということは非常に多いのです。測定してしまったばかりに、少し基準値をはみ出ていて、それでいて腫瘍マーカーですから精密検査をせずに何もありませんとは到底いえないので、無駄に全身検索を受けることになってしまうケースもあります。

よって、とりあえず測っておくというのも善し悪しなのです。

では、結局どうしたらいいの?

京都市では健診事業として特定健診(採血、採尿、心電図)、胃がん検診、大腸がん検診診、前立腺がん検診、肺がん検診、子宮がん検診、乳がん検診などが行われておりますし人間ドックでも同様の内容を行うことが出来ます。あれ、膵臓がんや胆のう癌、肝臓がん検診はないのか?と思われた方もいらっしゃるでしょう。確かに、こういった癌の検索には、別途腹部エコー検査やCT検査が必要となります。こういった検査を、定期的に受けておかれることで、腫瘍マーカーが上昇する前にがんを発見することが可能となります。

まとめ

以上をまとめますと、自費で高額な人間ドックを受けなくても、自治体が行っている検診事業を利用することで、かなりの部分をカバーすることが出来るのです。面倒がらずに、定期的にこういった検診を受けられることをお勧めいたします。

監修・文責  日本内科学会 総合内科専門医 舟木 準

補足

腫瘍マーカーには多数の種類があります。以下に代表的なものとどういった癌で上昇するのかを列記しておきます。

CEA:胃癌、大腸癌、膵癌、胆管癌、肺癌、乳癌

CA19-9:膵癌、胆管癌、胃癌、大腸癌、卵巣癌、前立腺癌

CA15-3:乳癌

CA125:卵巣癌、膵臓癌、胆管癌など

PSA:前立腺癌

AFP:肝細胞癌

CYFRA:肺癌

ProGRP:肺癌(小細胞癌)

SLX:肺癌、膵癌、胆管癌、卵巣癌、大腸癌

NSE:肺癌(小細胞癌)、神経芽細胞腫、褐色細胞腫、甲状腺髄様癌

SCC:扁平上皮癌(食道癌、子宮頚癌、皮膚癌、肺癌、頭頚部癌)

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