こんにちは。院長の舟木です。
本日は、最近の日本では珍しい破傷風について書いてみようと思います。
嫌気性菌である破傷風菌は日本全国どこにでも存在していますが、特に土壌や汚泥に存在しています。嫌気性なので土壌や汚泥、ドブの底、ヘドロ等、生存環境は限定されています。また錆びたクギにも存在していることがあります。何らかの外傷(錆びたクギを踏んだ、沼地でけがをしたetc)を契機に傷から人体に侵入すると考えられています。
1968年からDPTという3種混合ワクチンが定期接種となった事により、日本での発症は稀となっております。(年間100例ぐらいの発症)
逆に言いますと、1968年以前に生まれた方(つまり中高年以上の方)は破傷風ワクチン(トキソイドといいます)を打っていないので、破傷風を発症するの方のほとんどを占めています。
ワクチンの定期接種を受けた方は長期にわたって抗体が保持されているということが解っておりますが、最終のワクチン接種から10年以上経つと抗体価の低下するという報告もあるため、もし破傷風に暴露されてしまったと思われる場合の予防としましては、米国小児科学会の出しているガイドラインがあります。
そのガイドラインによりますと、
これまでワクチンを打ったことが無い方は小さな傷でも破傷風ワクチンは推奨されています。また、傷が汚く大きい場合はワクチンとグロブリンの併用が推奨されています。
ワクチンを打ったことがある方におきましては、最終摂取から5年たっていなければワクチン不要、5年から10年たっていて大きい汚い傷であればワクチン推奨ということになります。
では、破傷風に感染した場合はどうなるのでしょうか?
破傷風筋は毒素を産生するのですが、毒素の中のテタノスパスミンという神経毒が問題となります。
通用多いのは数日から3週間ぐらいの経過で筋肉の痙縮が起こってきます。その結果として有名な症状が開口障害です。その他、歩行障害なども出現します。
よって、3週間経過しても上記の症状が出現しなければ破傷風にはなっていないと言えます。
外傷後の破傷風菌感染が心配な方で上記のワクチン推奨に当てはまる方は、当院へご相談ください。