こんにちは。総合内科専門医の舟木です。
尿の量や回数が多いというご相談はよくありますが、今回は多尿について書いてみます。
目次
多尿とはどういった状態をいうのか?
1日3リットル以上の尿がでれば、それを多尿といいます。
もちろん水分を多く摂れば尿量は増えますが以下の体の異常でも尿量が増えることが知られています。
①低カリウム血症:利尿剤の使用、高度の嘔吐や下痢などでカリウムが喪失すると低カリウム血症になります。
②高カルシウム血症:副甲状腺機能亢進症やがんの骨転移で起こります。
③糖尿病:尿中に糖が多くなれば、浸透圧の関係で尿量が増え多尿になります。
④慢性腎不全:腎不全というと尿が出なくなることを想定されるかもしれませんが、慢性腎不全の場合は夜間に尿を濃縮する機能が落ちますので、夜間の多尿となります。腎機能が保たれていれば夜間はトイレに行かなくてもいいように抗利尿ホルモンが分泌され尿量を減らす機能が働くはずなのです。
尿の回数だけが多い場合は過活動膀胱といいます。
過活動膀胱膀胱という病気がありまして、以下の症状がでます。
- 尿意切迫感:急にトイレに行きたくなり我慢することが難しい症状
- 昼間頻尿:日中に8回以上トイレにいく症状
- 夜間頻尿;夜中に1回以上、トイレのために起きる症状
- 切迫性尿失禁:突然の強い尿意のためトイレまで我慢出来ず漏れてしまう症状。
日本人の40歳以上の女性の10人に1人が過活動膀胱の症状を経験していると言われています。また加齢により、その頻度は増す傾向にあります。
過活動膀胱の治療は内服薬の他に以下の訓練で改善することがあります。
- 膀胱訓練:トイレに行きたくなってもがまんする訓練。最初は5分ぐらい我慢するようにして徐々に時間を伸ばしていきます。
- 骨盤底筋訓練(骨盤底筋体操):尿道を締める力を鍛える体操。方法は以下の通りです。
- 仰向けに横になり、両足を肩幅程度に開いて、両膝を軽く立てましょう。
- 尿道、肛門、膣をきゅっと締めたり、ゆるめたりし、これを2~3回繰り返します。
- 次はゆっくりぎゅっとしめ、3秒ほど静止します。その後ゆっくりゆるめます。これを2~3回繰り返します。
尿量が異常に多いという方、過活動膀胱の症状がある方は、かかりつけ医に相談してみましょう。
監修・文責 日本内科学会総合内科専門医 舟木 準